ストレスって何?② ―ストレスがダメージを与える副腎

病気の原因はストレスであると発見した

セリエ博士は、ストレスの引き起こす段階も

わかりやすく解明しています。

それは、General adaptation syndrome略称GAS)、

日本語で「適応症候群理論」と呼ばれます。

ストレスに対し、ヒトがどう反応し、

やがて、適応していくか、

そのプロセスはとても興味深いものです。

動物もヒトもストレスに直面したときには、

ストレスの種類に関わらず、

同じ防御パターンや適応パターンを取るのです。

ストレスに反応する主役は、

下垂体前葉と副腎皮質系のホルモンで、

その反応段階は3つに分けられます。

警告反応期

ストレスに耐えるため内部環境を準備する緊急反応をする時期

下垂体前葉と副腎が活発に反応している状態です。

抵抗期 

ストレへの適応が完成し安定した時期。

しかし、この状態を維持するにはエネルギー必要とします

ストレスが続き、過労により下垂体前葉と副腎が異常をきたすと

さまざまな種類のホルモン分泌が枯渇していき、

次の状態である疲憊期(慢性疲労の状態)に突入していきます

この時期にストレスが弱まるか消えれば、元健康を取り戻します。

疲憊期(ひへいき)

長期にわたるストレに対抗できなくなり、体が衰えてしまう時期

初期には、心拍・血圧・血糖値・体温が低下します

この状態が続くと体はどんどん衰弱していきます

ひどい場合には、朝起きるのもつらくなり、

性欲が減退したり、痩せたり太ったりなど、

体形まで変化するなど明らかな変化もありますが、

多くの場合は周りにも気づかれにくく、

本人もただ何となく調子が悪い、

元気がないという感覚を抱いているだけで

自覚していないことが多いようです。

慢性的に疲れている人やうつや引きこもり

といったケースも、本人が気づかないうちに

長期的にこの「疲弊期」=「副腎疲労」の状態

にあるとおもわれます。

下垂体前葉も副腎も健康維持に

必要な様々なホルモンを分泌。

それを通じ身体の各器官に命令を出

重要な働きをします。

その下垂体前葉と副腎がストレスを受けすぎて疲弊し

機能が低下すると、これらのホルモン

正常に分泌されなくなります。

それが、慢性的な倦怠感や無気力感

といった疲労症状を起こします

この症状は現在、副腎疲労

(英語でアドレナル・ファティーグ)

と呼ばれるもので1990年代、アメリカの

J・ウイルソン医師が見い出した現象です。

セリエ博士は、これに先立ち、

副腎を摘出したマウスがこれらのストレス反応を

起こさないことを突き止め、

副腎皮質から出るステロイドホルモンが、

ストレス反応に関わっていることを証明していました。

(ストレスって何?③につづく)