ストレスって何?① ―ストレスという概念を発見したセリエ博士

「現代はストレスが多い」とか

「ストレス社会」とか、「最近、ストレスでやられてるわ~」など、

ストレスという言葉は普通に使われています。

ストレスとは、

暑さ、寒さや痛み、

経済上の心配や悩み、進路の悩み、人間関係の不和など

生きて行くうえで生じる全てのプレッシャー(重圧)、

また、それを感じた時に生じる感覚のことを言います。

これらのストレスは、健康を大きく左右します。

病気の最大の要因が、「ストレス」であるという見方は

今でこそ、あたりまえに受け入れられていますが、

この「ストレス」という概念は1930年代に

生理学者のハンス・セリエ博士が発見したものです。

当時は、「病気の原因は病原菌」というのが常識でした。

セリエ博士は生命の働き全体を観察し、

「生体に加わる様々な不快な現象」こそが

病気の要因であると見抜いたのです。

これは当時にしては画期的なことでした。

パラダイムシフトだったのです。

さらに病気という現象は、

ストレスに対する生体防御反応であり、

そこには一定のパターンがあることもわかりました。

ハンス・セリエ博士(1907-82)は、

ハンガリー系カナダ人の医学博士・理学者。

1931年にロックフェラー財団の奨学金を得て

米・ジョンズホプキンス大学に移った後、

カナダのマックギル大学に移り、ストレス問題の研究を開始しました。

その後、モントリオール大学で40人の助手とともに

15000匹の実験動物を用いた研究で、

現在のストレス研究の基礎を作り上げ、

ストレス研究の第一人者となりました。

ストレスに関する研究報告は1700に上ります。

セリエ博士は「ストレスを引き起こす要因=ストレッサー」

をわかりやすく、四つに分類しました。

【ストレスの分類】

寒冷・騒音・放射線などの「物理的ストレッサー」

酵素・薬物・化学物質などの「化学的ストレッサー」

感染・カビ・炎症などの「生物的ストレッサー」

怒り・緊張・不安・喪失感などの「心理的ストレッサー」

多くの病気は、単独の原因というより

①~④のストレスが複雑に重なっています。

次は、ストレスが起こす反応パターンをみていきます。

これは健康な状態から病気に至るプロセスや

治癒のプロセスを簡潔に言い表したものです。

(ストレスって何?②につづく)