謎に満ちた器官「松果体」①

松果体は、脳の中心に位置するほんの小さな器官です。

大きさはわずか1センチ弱。

豆粒ほどの大きさで、

色は赤灰色をしているといわれます。

松果体はいろいろな意味で謎に満ちた器官です。

世界中の宗教や文化で、

松果体は、意識のシンボルとして、

「松ぼっくり」や「松かさ」の形で

彫刻や建築物や絵画に表現されてきました。

ヨーガでは、松果体は7つあるチャクラ

(エネルギーセンター)のうち

6番目のチャクラ「第3の目」

7番目のチャクラ「頭頂」

と関連があるものとして、

意識の覚醒や悟りの象徴として捉えられています。

「我思う、ゆえに我あり」

で有名な17世紀の哲学者デカルト(仏)は、

松果体こそは、物質と精神の両方に作用する

「魂の座」「魂の位置する場所」であるとして、

松果体の研究に長年を費やしたといわれます。

松果体がメラトニンというホルモンを生成し、

概日リズムを制御する内分泌器であることが

分かったのは比較的最近、1960年代のことです。

概日リズムとは、24時間周期で変動する生理現象で、

動植物や菌類、藻類など幅広い生物の体内にあるシステムで

別名「体内時計」といわれます。

非常に興味深いことに、

松果体は幼少時に大きく、思春期になると縮小し、

松果体の働きが弱まって、

メラトニンの生産量が減少すると、

第2次性徴を迎えます。

幼少時に活発な働きをする松果体は

豊富なメラトニンを生成することで、

性の成熟を抑制していると考えられます。

逆に、松果体腫瘍などでメラトニンの分泌に

異常が起きた小児では、性の早熟化が起きることがあります。

松果体は、生成するメラトニンの時期と量を通じて、

毎日の昼と夜のリズムだけでなく、

性機能の発達時期の調整といった

人間の一生のリズムまでも制御している

大事な器官と言えます。

その働きは、現在でも謎が多く

まだ解明されていない部分が多いようです。

大人では、松果体にカルシウムやフッ素が沈着し

石灰化していることが多く、

X線で脳を撮影をすると、

石灰化した松果体が骨と同じように見えるとのこと。

大人になると、子どものように柔軟に考えれず

頭が固くなってしまうのは、

松果体が石灰化して

充分に機能していないからなのかもしれませんね。